永井さんは四月生まれだと言うことをいつだか知った。忌日に何かいうのはいまだにもやもやとした気持ちになるので、誕生日に何か言いたい。
四月生まれの人は大体クラスのお姉さん・お兄さん役を割り当てられるのが小学校低学年で私のような三月生まれはいつも「一番小さいんだから」とままごとでさえ赤ちゃんの役を振られた。実際発育の悪い私は一学年下に見えるのだ。そうやって何年も過ごしてくると性格と言うのも決まってくるのかもしれない。
永井さんは私より十四歳年上であるから、私には面倒を見なきゃ、と言う意識がたっぷりあった。『ふしぎな楽器』を私が歌会の席で 買おうか買うまいかと悩んでやめたらいくらも経たずに送られてきて「お年玉が足りないようだったら返品してください」と添え書きしてさえあった。まだ親にはお年玉をもらったのでそれでちゃんと歌集代を払った。二十歳のころだ。