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化繊でない着物であろう物はこれ一着で、大事に着る気だった。しかし、今日家の前で鍵を探しているうちにお漏らしをしてしまった。当然着物もぬれる。おしっこのかかったものをクリーニングに持っていくのもはばかられた上にお金がなかった。物の本に「着物でも洗濯してかまわないよ」と書いてあったのをよすがに洗濯機へ直行。洗濯して乾燥する前の着物はしわしわである。手でパンパンと叩いて乾燥する。一度目の乾燥を終えると今度は温風抜きで乾燥する。明日は雨らしいので乾燥機で乾燥してしまう気である。
化繊の着物は(やはりお漏らしがらみだが)洗濯してもへっちゃらだった。大体つるつるしているのでしわにならない。今度はアイロンをかけねばどうしようもなかろうな…
学生のころだから二十年程前にはやった歌に
一月は正月で酒がのめるよー
酒が酒が飲めるよ 酒がのめるよー
と十二月まである歌があった。ひたすら酒飲む歌である。六月など
六月は何にもないけど酒がのめるよー
だからあきれてものが言えない。下戸の私から言わせればこれでは一億総アルコール依存症である。このころよりあとになるが「二十四時間戦えますか」と言う歌があってそれはそれで怖いものがある。
日本人ってこういう歌が好きね。
どうにも着てみたく着てみると何とか着られる。今日は図書館で着物関連のエッセイをしこたま借りていたのを読んでいた。私には一生縁のなさそうな高い着物の話も、チープでシックな着物ライフの話も読んだ。あとは半幅帯の結び方の本があるが、これが時分で結べたら天才ではなかろうかと言う結び方で、しかも誰かに結んであげることを前提に書いてある。
帯結びの本ってほとんどそういう「誰かに結んであげる」ものばかりでつまらない。
本当に寒くて困った。それまでが暖かいと言うか暑いほどだったので洋服で仕事をしていたけれど着物に着替えてきたほど。
立冬って言葉初めて聞いたから使いたくってさ立冬って ふゆのゆふ
大体こんな意味のことを携帯で話している若い女の子がいた。何か勘違いしてないかい?
Forpasiとはエスペラントで死去する、という意味である。細かく分解していくと離れて+過ぎる、行くだからわたしたちのいるこの世から違うところへ行ってしまうこと、どんな宗教でもそれは変わらないからわかるだろうと思う。私は浄土真宗なので死んだ人は直ちに仏様になり、子孫を見守っているという話を教えられるのだが、もし見守っていてくれるとしても私たちにはそれが見えないからやはり遠くへ行った人なのだ。極楽と地獄があったりすると、どっちかわからないがとにかく遠くだし、その他宗教によってどうなるかさえ私にはわかりかねるものもある。
ジェームス・ヘリオットという作家の短編にたくさんの猫や犬と暮らしている老婦人がいまわの際に獣医であるヘリオットに「この子達と私は一緒のところへ行けますか」ときく。「行けますとも」彼はこたえる。キリスト教でも仏教でも犬や猫は人間とは同じ世界へはいけないとなっているが、長年苦楽をともにしたものと再会できないとなったらどんなにかさびしいだろう。