歌人と定義していいのかわからないが正岡豊さんという人がいて、この人とよく顔を合わせていた時期がある。私は大学生で、彼はある店の店員だった。店員といっても彼独りで守をしている店でそう繁盛しているわけでもなく、まあ閑古鳥でもないが、あまりふりの客は入ってこない。
彼にしては妹分というか、守をするのが商品だけでない、位の感覚だが私は恋患いに陥ってしまった。そんなものである。
で、冬休み明けぐらいである。世はバレンタインムードである。
「モロゾフのチョコほしいねんけどなあ…」と彼。
「モロゾフ?買う!買う!買うよ!」と私。
「別にX(私の旧姓)ちゃんに買ってほしいゆうてへんねん」
「ほしいんでしょ?買うって」
「あのな、モロゾフってどこで売ってるか知ってんの」
「どこ?」
「デパートに売ってんねん、スーパーやないで」
「いくらするの」
「だから、買ってほしいゆうてへんねん」
「チョコ買ったらあかんの?」
「不二家のハートチョコでもかっといで」
これで対象外であることをわからないのはかなり鈍感と言うか、あほと言うか…でもモロゾフってそんなに高いんだろうか???
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