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それは私が小三のときだった。人生ゲームという競技で私は父を負ぶって百メートル移動した。まずは父ないしは母が子を負ぶって走る。次は手をつないで走る。最後が親を負ぶって走る、そういう競技なのだ。
父はその日の四百メートル走で中学の体育教師とトップを競り合った。体格は中肉中背である。一方私は走ることにかけてはすべてをあきらめられている。体格は三年生でも一年生並みでしかない。父は私を負ぶってトップを独走した。手をつなぐところも私は宙を飛んでいるかのようだった。二位との差は歴然。さて私は父を負ぶった。ぐえっ。歩いているというより、父の重みでよろめくことが結果的に移動していることになるという悲惨な移動である。私は心の中で歌った。「おもいーこんだらしれんのみちをーゆくがーおとこのーどこんーじょーおー」父は口も利けない。
これはどの子にも試練の道であったようで私は結局三位だった。それまでにぎやかだった外野もシーンとしてしまい、「小学校三年ではおやは負ぶえない」という事実が明らかになったその一瞬だった。