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骨董市

名古屋の大須観音では18・28の二日間骨董市が開かれる。そこでは彫り物などのほかにも着物が売られている。お金のない私、500円コーナーへ行ってメジャーで測って寸法のあっているものをチョイス。ひとつは木綿の羽織(後で見たら筒袖だった)ひとつは留袖、ひとつは縞の着物だった。少し高いが黒のストールも買う。わだちへ福祉パスがないか探しに行き、結局初めから自分のかばんにあったことを知り、着物に早速着替える。ところが裾除けを持っていかず、長じゅばんも着ないうそつきスタイルだったので、バスのいすに座ったらひざ上少し見えてセクシーなことになってしまう。要するに、自分にあった着物から採寸するべきサイズを、体からとっていたからだ。さらに内科で注射した綿をいつまでもつけていたら八掛の赤い色が表に染みてしまった。

失敗のほうが多い骨董市デヴューだった。

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ああ、紬が…

化繊でない着物であろう物はこれ一着で、大事に着る気だった。しかし、今日家の前で鍵を探しているうちにお漏らしをしてしまった。当然着物もぬれる。おしっこのかかったものをクリーニングに持っていくのもはばかられた上にお金がなかった。物の本に「着物でも洗濯してかまわないよ」と書いてあったのをよすがに洗濯機へ直行。洗濯して乾燥する前の着物はしわしわである。手でパンパンと叩いて乾燥する。一度目の乾燥を終えると今度は温風抜きで乾燥する。明日は雨らしいので乾燥機で乾燥してしまう気である。

化繊の着物は(やはりお漏らしがらみだが)洗濯してもへっちゃらだった。大体つるつるしているのでしわにならない。今度はアイロンをかけねばどうしようもなかろうな…

気に入った柄であるが身幅の狭い長じゅばんがあって

どうにも着てみたく着てみると何とか着られる。今日は図書館で着物関連のエッセイをしこたま借りていたのを読んでいた。私には一生縁のなさそうな高い着物の話も、チープでシックな着物ライフの話も読んだ。あとは半幅帯の結び方の本があるが、これが時分で結べたら天才ではなかろうかと言う結び方で、しかも誰かに結んであげることを前提に書いてある。

帯結びの本ってほとんどそういう「誰かに結んであげる」ものばかりでつまらない。

おばあさんの反応2

病院に着物を着ていった。そこには87歳だというおばあさんと、それよりはかなり若いおばさんがいた。私が注射されていると「これはどういう帯の結び方や」「ねこがなんとかかんとか」「べろがでてまっとる」私の体に手を突っ込んで「はさかいがしたらへん」「ぐずぐずや」要するにどうにもこうにもへたくそで、見ていられないものだったらしい。吸入をしている間にも「こうしたらどうやろ」「こうせな」とかしましい。

ああ、名古屋弁で着付けの解説をされてもぜんぜんわからないのですが。

踊りの人

ある近所の人は「あんたは若くて着物を着とらっせるがいいねえ、わしゃあ齢だでかんわ。踊りの人かね」
このあたりでは着物を着ていると踊りのひとだと思われる。大須あたりでは着物屋があるし、若くても着物を着る人がうろついているので、やれ帯が緩んでる、やれおはしょりがどうの、と道行くおばさんがおせっかいを焼いてピンチをしのいでくれる。

作業所に着物で行ったら「なんかあるの?」女装の山ちゃんは認知されているのにな。



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